
いまの金利が低すぎるので、銀行預金の金利を調べてみました。(2023年11月30日)
銀行預金は、複利なので、数学の理屈をかみ砕いて説明しました。
Excelでシミュレーションして、30年後の貯金額を計算しました!
目次
複利法の使いどころ
現代の金利事情(2023.11.30)
貯金、投資、保険、ローン、借金…
いま現在の銀行の「金利」は、どれくらいなのか調べてみました。
金利は「年利〇〇%」で表記することが通例のようです!
◇主要銀行の金利比較
すべて「通常貯金(普通預金)」に対する金利です。
※他の貯金の仕方だと"少し"金利が高い場合があります!
- ゆうちょ銀行→「0.001%」(金利一覧-ゆうちょ銀行)
- みずほ銀行→「0.001%」(預金金利・利率|みずほ銀行)
- UFJ銀行→「0.0010%」(円預金金利|三菱UFJ銀行)
- 三井住友銀行→「0.001%」(円預金金利:三井住友銀行)
- りそな銀行→「0.001%」(円預金金利|口座を開きたい|りそな銀行)
※すべて2022年11月30日現在の情報*
Wow!!ぜんぶ金利低すぎるorz
不景気ですね。

もうちょっとだけ興味が湧きました。
ネット系の銀行を調べました。
もう少し銀行の金利比較
- PayPay銀行→残高100万円未満「0.001%」, 残高100万円以上「0.001%」(円預金金利・預金金利-PayPay銀行)
- 楽天銀行→「0.02%」(定期預金や外貨預金の預金金利|楽天銀行)
※すべて2022年11月30日現在の情報*
まあ、金利低いですね。
通常貯金ではなく、「定期預金」をザッと見ると、「0.002%」の金利でした。
バブルの頃は、定期預金が年利5%を越えていたようです。
(今の時代では信じられないですね!)←生まれてないので。
積立貯金をするときの複利
まず,複利の計算に必要な情報を整理する。
毎年同じ金額を積み立てて預金したとき、○○年後には預金額(元利合計額)はいくらになっているか?
次の表の情報から、未来の元利合計額が算出する。
意味 | 例(預金) | 例(借金) | 文字 |
---|---|---|---|
発生額(&積立額) | 10万円 | 50万円 | $a$ |
利率 | 0.01(1%) | 0.1(10%) | $r$ |
$1 + r$ | 1.01 | 1.1 | $b$ |
何年後か? | 30年後 | 30年後 | $n$ |
金利の付け方の整理
◇単利法
単利法は自分が預けたお金(預金額-元金)にしか「利子」が付きません。
国債などの金利は、単利だそうです。
◇複利法
複利法は、自分が預けたお金と、得た利子に対しても、さらに「利子」がつきます。
銀行の預金などの金利は、複利だそうです。
◇単利と複利の違い
単利と複利の言葉だけ聞いていても、単利と複利の違いがあまり判りません。
■単利の計算例
〜例えば(金利10%で100万円預けた場合)〜
100万円預けた場合
→1年後の利子(1,000,000×0.1)→利子「10万円」です。
→2年後の利子→変わらず利子「10万円」です。
■複利の計算例
〜例えば(金利10%で100万円預けた場合)〜
→1年後の利子(1,000,000×0.1)→利子「10万円」です。
→2年後の利子(1,100,000×0.1)→変わらず利子「11万円」です。
※単利も複利も説明を容易にするために、利子を高めの10%にしました。
計算するときは「10%=0.1」にしてくださいね!
ちなみに「0.001%」というのは、計算の際は「0.00001」にします。
かなり低い数値ですね。
いま「10%」という幻の金利で計算しました。
「1年で1万円」の差がでました。
しかし、単利と複利は、長期的に見た方が、その違いが非常に顕著に見えます。

複利法の理解
預けっぱなしの複利法の公式
問.はじめだけお金を預けて、寝かせっぱなしにしたとき、○○年後には預金額(元利合計額)はいくらになっているか?
複利式の金利計算(導出)
複利式の金利は「残高 × 利率」で計算できます!
例えば、10万円が残高のとき、利率が 0.01(1%)のとき、
- 10万円 × 0,01 = 1,000円 【金利】
- 10万円 + 1,000円 【元利合計額】
ということです。
もしくは、
- 10万円 × 1.01 = 101,000円 【元利合計額】
でスグに計算OKです!
コツコツ計算【30年後の積立額は?】
問.毎年おなじ金額だけお金を預けて、積み立て貯金をしたとき、○○年後には預金額(元利合計額)はいくらになっているか?
積立貯金の計算の仕方
利率は1%(0.01)で、はじめに10万円預けたとします。
来年度は、さきほど計算したように、10万1千円です。
- 10万円 × 1.01 = 101,000円 【1年後利子付き】
積み立てなので、また10万円を預けます。
- 10万1千円 + 10万円 = 201,000円 【1年後利子+積立込】
これで1年目の預金額が計算できました。
2年目に話を進めます。
2年目は、今の残高(20万1千円)に利子が付くので、
- 20万1千円 × 1.01 = 203,010円 【2年後利子付き】
ここで積み立て金の10万円を預けます。
- 20万1100円 + 10万円 = 301,100円 【2年後利子+積立込】
これで2年目の預金額が計算できました。
で、30年後まで計算したければ、この計算を30回繰り返していくわけですね。。。
ムリっ!
ポイント【なんだ天才じゃん!】
残高から、金利を計算して、積み立てて、
その残高から、また金利を計算して、積み立てて、
って計算を先ほどコツコツしました。
少し発想の転換をします。
「一人が毎年コツコツ積み立てる」
から
「毎年、別々の人が同じ口座に同じ額を振り込む」
と考えてみる
→ 銀行の立場から見ると同じことですね!(現実ではしちゃダメ!)
30年間続けてみよう。
【1人目の気持ち】
「10万円あずけた。」
「30年後どうなってるのかな?」
→ 10万円 × $(1.01)^{30}$ 【元利合計額】
【2人目の気持ち(1年後に預ける人)】
「10万円あずけた。」
「29年後どうなってるのかな?」
→ 10万円 × $(1.01)^{29}$ 【元利合計額】
【3人目の気持ち(2年後に預ける人)】
「10万円あずけた。」
「28年後どうなってるのかな?」
→ 10万円 × $(1.01)^{28}$ 【元利合計額】
・・・
【30人目の気持ち(29年後に預ける人)】
「10万円あずけた。」
「来年どうなってるのかな?」
→ 10万円 × $1.01$ 【元利合計額】
【31人目の気持ち(30年後に預ける人)】
「10万円あずけた。」
「俺が預けて終わりだ!」
→ 10万円 のまま 【元利合計額】
全員の【元利合計額】の合計が銀行に預けた30年後のトータルの金額ですね。
- 10万円 × $(1.01)^{30}$ 【初代】 + 10万円 × $(1.01)^{29}$ 【二代目】+ 10万円 × $(1.01)^{28}$ 【三代目】+ ・・・+10万円 × $1.01$ 【三十代目】+10万円 【三十一代目】
$b = r + 1 = 1.01$ とだけ置き換えてあげます。
- 10万円 × $b^{30}$ + 10万円 × $b^{29}$ + 10万円 × $b^{28}$ + ・・・+10万円 × $b$ +10万円
ややこしい計算ですが、実は、この計算はスッキリな形にできることが知られています。
高校生向け;
初項 $a=$10万, 公比 $b=1.01$, の等比数列の初項から第31項目までの和
$$\sum_{n=1}^{n=31}ab^n = a\frac{b^{31}-1}{b-1}$$
大人の皆さんは、次のことでイメージだけを持つことができます!
本当に理解する場合は、【高校生向け】のところに書いたことの勉強・必です。
大人向け;
分配法則の $(b + 1)(b - 1) = b^2 - 1$ って式は覚えていますか?【中1】
「b+1」「b-1」=「$b^2$-1」って式は、
$$b + 1 = \frac{b^2 - 1}{b-1}$$
とできます。
同様に、$(b^2 + b + 1)(b - 1) = b^3 - 1$ って式もあります。
「$b^2 + b + 1$」「b-1」=「$b^3$-1」って式は、
$$b^2 + b + 1 = \frac{b^3 - 1}{b-1}$$
同じように、
$$b^{31} + ・・・ + b + 1 = \frac{b^{31} - 1}{b-1}$$
って感じです。これに「10万円」が前につきます。
まとめ!
30年後の元利合計額(30人が別々に預けた金額の合計額)は、
$$100,000 \times \frac{b^{31} - 1}{b-1}$$
数学の公式は、次の形をしている。
$$\frac{a(b^{n+1} - 1)}{b-1}$$
複利シミュレーション

※Excel・Number・Googleスプレッドシートで作成可能です。今回は,iPhoneでできるNumbersで紹介します!
シミュレーションシステム
お題
A銀行の年利が複利式で「0.001%」でした。
あなたのお年玉を預けました。
30年後に預金を引き出すとすると、いくらになっているでしょうか?
次のようなシミュレーションシステムを作ります。

『左側の条件の表(の黄色のトコロ)に必要事項を入力すると、
右側に自動的に未来の預金額が算出できるシステム』です!
今の画面は,次の条件で複利を計算しています;
例えば、預けるのを10万円の定期預金に替えて、利率を0.002%に変更します。黄色いところだけ変更します。

簡単に30年後の預金額が算出できました♪( ´▽`)パチパチ
システム作成
Numbersで解説しますが,ExcelもしくはGoogleスプレッドシートでも同様に作成可能です。
◇STEP①
Numbersに次のように打ち込んでください。そのまま同じように打ち込みます。

◇STEP②
[積立額の金額]のところをクリックします。
- 「=」を入力します。
- 「初回預金額の金額の¥10,000」のところをクリックします。
- [Enter]を押します。

で、OKです。
◇STEP③
数式の $b$ に対応する数値を入力します。
[1+利率 の 金額]のところをクリックします。
- 「=」を入力します。
- 「1 + 」と入力します。
- 「利率の0.00001」のところをクリックします。
- [Enter]を押します。

◇STEP④
預けて寝かすタイプの数式の $a(a+r)^n$ を利用します。
[初回預金の金額]のところをクリックします。
- 「=」を入力します。
- 「初回預金額の¥10,000」をクリック
- 「× (1+」と入力
- 「利率の0.00001」をクリック
- 「)^」と入力
- 「預金年数の30」をクリック
- [Enter]を押します。

◇STEP⑤
積立タイプの場合の $\displaystyle \frac{a(b^n-1)}{b-1}$ を利用します。
[積み立ての金額]のところをクリックします。
- 「=」を入力します。
- 「初回預金額の¥10,000」をクリック
- 「× (」と入力
- 「1+利率の1.00001」をクリック
- 「)^(」と入力
- 「預金年数の30」をクリック
- 「+1) - 1)/」と入力 ※「÷」の記号は「/」スラッシュ
- 「利率の0.00001」をクリック
- [Enter]を押します。

で、OKです。
あとは、黄色の数値を自分のシミュレーションしたい値に換えて楽しんでみてください!( ◠‿◠ )
【補足】別のシミュレーション~
次の形のシステムの方が作成自体は簡単です。

複利法の数学の公式を知らなくてもシミュレーションできます。
1つ目の表のレイアウト
- 図のように必要事項を記入する

2つ目の表のレイアウト
- 図のように必要事項を記入する
- 左表のB2のセルに「=」を入力して, 「初回貯金額の値」をクリックする。

システムの作成①
- 左表のD2のセルに「=」を入力して, 「初年度の預金額の値」をクリックする。

システムの作成②
- 左表のB3のセルに「=」を入力して, 「積立額の値」をクリックする。

システムの作成③
- 左表のC3のセルに「=」を入力して, 「(初年度の残高の値)*(利率)」を入力する。

システムの作成④
- 左表のD3のセルに「=」を入力して, 「(初年度の残高)+(経過1の預金額)+(経過1の金利)」を入力する。

オートフィルの準備①
- 左表のB3のセルの参照を絶対参照にする。

オートフィルの準備②
- 左表のC3のセルの、利率の参照のところだけを絶対参照にする。

オートフィル
- 左表のB3とC3、D3のセルを全て選んで、オートフィルで表の下まで自動的に入力する。

折れ線グラフの作成
- 左表のA列とD列を選択する。
- 上の「グラフ」のアイコンから、折れ線グラフを選択する。

完成
- 2つ目の表の「初回貯金額」と「積立金」、「金利」を変えることで、いろいろな状況でシミュレーションできる。

このブログは、以上です。
金利のこと、複利を実用的に使いこなす術を紹介しました!