• 目次
  • 等差数列
  • 等比数列
  • 階差数列
  • 数列の和
  • 漸化式
  • 数学的帰納法
  • フィボナッチ数列

等差数列

等差数列の一般項

数列の中で最も基本的な等差数列を解説します。
定義(等差数列)
数列 $\{a_n\}$ の隣接する二項の差が常に等しい, つまり,
$$a_{n+2} - a_{n+1} = a_{n+1} - a_n$$ が成り立つとき, この数列を等差数列という。
等差数列の定義は $$a_{n+2} + a_n = 2a_{n+1}$$ と変形できる。すなわち, 次が成り立つ。
ある数列について, (任意の)隣接する3項 $a$, $b$, $c$ について, $a+c = 2b$ を満たすことは等差数列であるための必要十分条件である。 (この条件を等差中項の関係という。)
漸化式(等差数列)
等差数列 $\{a_n\}$ は, ある定数 $d$ について, $$a_{n+1} - a_{n} = d$$ とできる。定数 $d$ を公差という。
この式を帰納的に計算すれば, 等差数列 $\{a_n\}$ の一般項を導くことができる。
一般項(等差数列)
初項 $a$, 公差 $d$ の等差数列 $\{a_n\}$ の第 $n$ 項は $$ a_n = a + (n-1)d $$ で与えられる。 この式を等差数列の一般項という。

等差数列の和の公式

等差数列 $\{a_n\}$ について, 初項から第 $n$ 項までの和を求める公式を紹介します。
公式(等差数列の和)
初項 $a$, 公差 $d$ の等差数列 $\{a_n\}$ について, 初項から第 $n$ 項までの和について, 次が成り立つ: $$\sum_{k=1}^n a_k = \frac{n}{2}\{ 2a + (n-1)d \}$$
この公式を応用すれば, さまざまな自然数の和を簡易に計算できる。
さまざまな自然数の和
$\displaystyle 1 + 2 + \cdots + n = \frac{1}{2}n(n+1)$ [自然数の和]
$1 + 3 + \cdots + (2n-1) = n^2$ [奇数の和]
$2 + 4 + \cdots + 2n = n(n+1)$ [偶数の和]
等差数列の和の最大・最小
初項 $a$, 公差 $d$, 項数 $n$ の等差数列 $\{a_k\}$ において, 和 $$ S_n = a_1 + a_2 + \cdots + a_n $$ は次の条件で最大または最小となる。
公差 $d>0$ のとき, 初項と末項の積が $a_1 a_n \le 0$ となる初めての $n$ のとき, $S_n$ が最大となる。
公差 $d<0$ のときも同様に, $a_1 a_n \le 0$ のとき, $S_n$ が最小となる。
初項と末項が同符号の場合, 和の最大・最小は端の項の値に依存する。
この条件は, 等差数列が「正負をまたぐ」場合に, 両端の項の和で全体の和が決まり, 和が極値を取ることを示す。

等差数列のPythonコード

Pythonを利用した, 等差数列の処理を説明します。
等差数列の出力
等差数列の第 $n$ 項の値seqは, 一般項 $a_n = a + (n-1)d$ を利用して, 次の式で処理できる: seq = [a + (i - 1) * d for i in range(1, n + 1)]
等差数列の和の出力
等差数列の和totalは, $\sum_{k=1}^n a_k = \frac{n}{2}\{2a + (n-1)d\}$ を利用して, 次の式で処理できる: total = n * (2 * a + (n - 1) * d) // 2
a = 1    # 初項
d = 2    # 公差
n = 10   # 項数

# 等差数列をリストとして生成
seq = [a + (i - 1) * d for i in range(1, n + 1)]

# 等差数列の和を計算
total = n * (2 * a + (n - 1) * d) // 2

# 出力
print("等差数列:", seq)
print("等差数列の和:", total)

調和数列

定義(調和数列)
数列 $\{a_n\}$ に対して, その各項の逆数からなる数列 $$ \left\{\frac{1}{a_n}\right\} $$ が等差数列となるとき, $\{a_n\}$ を調和数列という。
調和数列の一般項
調和数列 $\{a_n\}$ の一般項は $$a_n = \frac{1}{\frac{1}{a_1} + (n-1)d}$$ である。ただし, $d$ は逆数の公差である。

等比数列

等比数列

等比数列の定義
数列 $\{a_n\}$ が等比数列であるとは, 隣り合う項の比が常に一定であることをいう。 すなわち, ある定数 $r$ を用いて $$ \frac{a_{n+1}}{a_n}=r $$ が成り立つとき, この数列を公比 $r$ の等比数列という。
等比数列の一般項
初項 $a$ の等比数列の一般項は次の通り: $$ a_n=a r^{n-1} $$
等比数列の和
等比数列の最初の $n$ 項の和を $S_n$ とすると, $r\neq 1$ の場合, $$ S_n=a\frac{1-r^n}{1-r} $$ が成り立つ。
$r=1$ の場合は, $$ S_n=na $$ となる。
複利と等比数列
元金 $P$ を利率 $r$ で複利運用するとき, $n$ 期間後の金額は $$ P(1+r)^n $$ で表される。
音階と等比数列
西洋音楽の平均律では, 1 オクターブ上の音は周波数が 2 倍になる。 1 オクターブを 12 等分すると, 隣り合う音の周波数比は一定となり, 公比 $$ r=2^{1/12} $$ の等比数列をなす。

階差数列

階差数列

階差数列の定義
数列 $\{a_n\}$ に対して, 隣り合う項の差 $$ b_n=a_{n+1}-a_n $$ によって定まる数列 $\{b_n\}$ を, $a_n$ の階差数列という。
階差数列と元の数列の関係
階差数列 $\{b_n\}$ が与えられたとき, $a$ を初項として, $a_n$ は $$ a_n=a+\sum_{k=1}^{n-1} b_k $$ と表される。
望遠鏡和の考え方
和 $$ \sum_{k=1}^{n} (a_{k+1}-a_k) $$ を考える。 この和を展開すると, $$ (a_2-a_1)+(a_3-a_2)+\cdots+(a_{n+1}-a_n) $$ となり, 中間の項が次々に打ち消し合う。 その結果, $$ \sum_{k=1}^{n} (a_{k+1}-a_k)=a_{n+1}-a_1 $$ となる。 このように, 途中の項が消えて端だけが残る和を, 望遠鏡和という。
望遠鏡和と階差数列
階差数列 $b_k=a_{k+1}-a_k$ の和は, $$ \sum_{k=1}^{n} b_k = a_{n+1} - a_1 $$ という形になる。

数列の和

数列の和

数列の和と和の記号
数列 $\{a_n\}$ の第 $1$ 項から第 $n$ 項までの和は, $$ a_1+a_2+\cdots+a_n $$ と表される。 この和を簡潔に表すために, 次の記号を用いる: $$ \sum_{k=1}^{n} a_k $$ この記号を, シグマ記号という。
代表的な和の公式
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} c=nc$
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} k=\frac{1}{2}n(n+1)$
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} k^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} k^3=\left\{\frac{1}{2}n(n+1)\right\}^2$
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} r^{k-1}=\frac{1-r^n}{1-r}$
和の記号の線形性
定数倍について $$\sum_{k=1}^{n} c a_k=c\sum_{k=1}^{n} a_k$$
和について $$\sum_{k=1}^{n} (a_k+b_k)=\sum_{k=1}^{n} a_k+\sum_{k=1}^{n} b_k$$
群数列の考え方
数列の和を考えるとき, 項をいくつかずつまとめて足すことがある。 例えば, $$ a_1+a_2+a_3+a_4+\cdots $$ を $$ (a_1+a_2)+(a_3+a_4)+\cdots $$ のようにまとめる操作を, 群数列という。 群数列は, 項の並び方や対称性を利用して, 和を簡単に計算するための考え方である。

漸化式

漸化式

漸化式
数列 $\{a_n\}$ において, ある項をそれ以前の項を用いて表した式を, 漸化式という。
漸化式と一般項の対応
定数列 $$a_{n+1}=a_n \;\to\; a_n=a_1$$
等差数列 $$a_{n+1}=a_n+d \;\to\; a_n=a_1+(n-1)d$$
等比数列 $$a_{n+1}=r a_n \;\to\; a_n=a_1 r^{\,n-1}$$
階差数列 $$a_{n+1}-a_n=b_n \;\to\; a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1} b_k$$
階比数列 $$\dfrac{a_{n+1}}{a_n}=r_n \;\to\; a_n=a_1\prod_{k=1}^{n-1} r_k$$
特性型の漸化式
一次の線形漸化式 $$a_{n+1}=p a_n+q$$ を, 特性型の漸化式という。
3項間漸化式
2つ前までの項を用いて定まる漸化式を, 3項間漸化式という。 一般に, $$a_{n+1}=p a_n+q a_{n-1}$$ の形で与えられる。

数学的帰納法

数学的帰納法

数学的帰納法
数学的帰納法は, 自然数 $n$ に関する命題を証明するための方法である。
自然数 $n$ に関する命題 $P(n)$ が, すべての $n$ について成り立つことを示すには, 次の 2 段階を確認する。
初期段階 $P(1)$ が成り立つことを確かめる
帰納段階 $P(k)$ が成り立つと仮定して, $P(k+1)$ が成り立つことを示す
この 2 つが確認できれば, すべての自然数 $n$ に対して $P(n)$ が成り立つ。
数学的帰納法の本質は, 「一段ずつ進む」構造にある。
最初の一段目を確認する
次に進める仕組みを確認する
すべての段に性質が伝わると考える
この考え方は, 数列だけでなく, 多くの数学的構造に現れる。
数列との関係
数学的帰納法は, 数列の一般項を扱う場面で特に重要である。
一般項の公式が, 初項を満たすかどうかの確認
漸化式から次の項が正しく導かれるかの確認
「すべての $n$」に対して成り立つことの保証
漸化式と一般項は, 数学的帰納法によって結び付けられる。
数学的帰納法の位置付け
数学的帰納法は, 次の役割を果たす。
一般項の正しさを保証する
漸化式による定義を補強する
無限に続く主張を有限の確認で扱う
数列の理論を支える, 基本的な論理手法である。

フィボナッチ数列

フィボナッチ数列

フィボナッチ数列とは, 直前の 2 項の和によって次の項が定まる数列である。
漸化式による定義
フィボナッチ数列 $\{F_n\}$ は, 次の漸化式によって定義される。
初期条件 $F_1=1, F_2=1$
漸化式 $F_{n+1}=F_n+F_{n-1} \ (n\ge 2)$
ビネーの公式
フィボナッチ数列の第 $n$ 項は, 次の式で与えられる。 $$F_n=\dfrac{1}{\sqrt{5}}\left\{\left(\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^n-\left(\dfrac{1-\sqrt{5}}{2}\right)^n\right\}$$
フィボナッチ数列の和
$$\sum_{k=1}^{n} F_k = F_{n+2}-1$$
偶数項の和
フィボナッチ数列の偶数番目の項の和について, 次の関係が成り立つ。 $$F_2+F_4+\cdots+F_{2n}=F_{2n+1}-1$$
平方和の性質
フィボナッチ数列の平方和には, 次の関係がある。 $$F_1^2+F_2^2+\cdots+F_n^2=F_n F_{n+1}$$
隣接項の積に関する性質
隣接するフィボナッチ数には, 次の恒等式が成り立つ。 $$F_{n+1}F_{n-1}-F_n^2=(-1)^n$$
項の比の極限
フィボナッチ数列の連続する項の比は, 一定の値に近づく。 $$\displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{F_{n+1}}{F_n}=\frac{1+\sqrt{5}}{2}$$

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です