
自動入力(オートフィル)を利用するときの、絶対参照を初心者向けに解説します。
絶対参照とは「オートフィルで自動入力する場合に、あるセルの参照を動かさずに固定することができる方法」です。
目次
通常のセル参照でやってみる
セルの参照方法(復習)▼
Excelでは、数式の中にセル参照を入力することで、すでに入力した数値を利用して計算をすることができます。基本的な説明(STEP①)はこちらをチェックです。相対参照の説明(STEP②)はこちらをチェックです。
相対参照のままでの失敗例▼
「お弁当とお茶の3人分の値段の計算」を例題とします。
前回のブログで紹介したExcelと少し異なるので、まず説明しておきます。

STEP②では[D1]
に「3
人分」と入力しました。
今回は[D1]
に3
を入力して、[E1]
に「人分」を入力しました。[D1]
の「3
」をセル参照します。
今回も、[D2]・[D3]・[D4]のセルに3人分の代金を入力します。

[D2]
に、3人分のお弁当代金を計算します。
[B2]
の「350
」円(お弁当代)と、[D1]
の「3
」人分(人数)を参照して、=B2*D1
と入力して【Enter】を押します。

3人分のお弁当代金の「1050」円が自動的に計算できます。
※少し脱線しますが、[D1]
と[D2]
で、「3
」と「人分」を分けた利点は、人数を変更しやすいという点です。

もし、4人分のお弁当代金に変更するときは、[D1]
を3
から4
に変更しただけで、[D2]
は1400
円と自動的に計算し直されます。(350 × 4 = 1400 ですね。)
※本題に戻りましょう。

セル[D2]
に「=B2*D1
」と入力しましたね。
オートフィルで[D3]
と[D4]
にも自動入力します。

すると、4人分のお茶の代金が「137,200
」円、4人分の合計額が「61,465,600
」円となってしまいました。
お弁当とお茶を買っただけで、6千万円しました。
ボッタくりですね。
いや、計算間違いです。。。
相対参照の考え方(復習)▼
計算間違いをしてしまった理由を考えます。
はじめにセル[D2]
に「=B2*D1
」と入力しました。
この意味は、
([D2]
から左に2つ目のセルの数値)×([D2]
から上に1つ目のセルの数値)
です。オートフィルは、「左に2つ目」と「上に1つ目」という情報を基準に自動入力するのでした。
これを相対参照と言いました。

セル[D3]
には、([D3]から左に2つ目のセルの数値)×([D3]から上に1つ目のセルの数値)という情報が入り、「=B3*D2」と入力されます。

セル[D4]
には、([D4]から左に2つ目のセルの数値)×([D4]から上に1つ目のセルの数値)という情報が入り、「=B4*D3
」と入力されます。
[B4]
の「448
」円と、[D3]
の「137,200
」円をかけ算するから、6千万円のボッタくりになってしまいます。
これが相対参照の落とし穴です。
相対参照を使って参照する
相対参照だけでは、自動入力が上手にできないことが分かりました。
この解決策として、参照するセルを固定する考え方を伝えます。
絶対参照
オートフィルで自動入力するときに、参照するセルを固定したいときは、セルの番号のアルファベットと数字の前に「$(ドル)」マークを付ける。
この考え方を「絶対参照」と言います。
絶対参照で入力▼
今回の計算では、(1人分の代金)×(人数)という計算をしています。
式の後半の(人数)の部分は、いつでも「4」を計算に入れたいです([D1]
の参照を固定する)。
式の前半の(1人分の代金)は、「お弁当」→「お茶」→「合計」と変わってほしいので相対参照のままで大丈夫です。

セル[D1]
の参照を固定したいので、Dと1の前に「$(ドル)」マークを付けます。
「$\$ $D$\$ $1」とする。
「=B2*$\$ $D$\$ $1」という入力にすると、オートフィルを利用しても、必ず[D1]
のセルを参照します。

セル[D2]
に、「=B2*$\$ $D$\$ $1」と入力して、[D3]
→[D4]
とオートフィルします。

すると、[D3]
の4人分のお茶代金が「392」円、[D4]
の4人分の合計額が「1792」円と適正価格になりました!
絶対参照を確認する▲
絶対参照を使えば、[D1]
のセルの参照を固定して、オートフィルで上手に自動入力できることが分かりました。
[D3]
と[D4]
のセルの入力が、どうなっているのか確認しておきます。

[D3]
には「=B3*$\$ $D$\$ $1」と入力があります。
式の前半は、[B2]
から[B3]
に変わりました(相対参照)。
式の後半は、[D1($\$$D$\$ $1)] のままです(絶対参照)。
「(お茶の代金)×(人数)」の計算が上手に出来ています。

[D4]
には「=B4*$\$ $D$\$ $1」と入力があります。
式の前半は、[B2]
から[B4]
に変わりました(相対参照)。
式の後半は、[D1($\$$D$\$$1)] のままです(絶対参照)。
「(合計)×(人数)」の計算が上手に出来ています。
ちゃんと計算できていることが分かりました。
あとからの修正(Excelの活用のコツ)▲
絶対参照について、合計額を「3」人分から「4」人分に修正することも簡単です。
途中で「3」人分ではなく「4」人分の計算にすり替えました。
(気づかれましたか?)


Excelは便利です。[D1]
のセルの入力を「4」から「3」に修正してください。
それだけで、すべての計算が修正されます。

この画像は[D1]
の数字を変更しただけの結果です。
[D2]
・[D3]
・[D4]
が全て3人分の値段に変更されています。
Excelは、こういった使い方を上手にして、活用するものです。
あとからの修正をしやすいように、Excelの表を作っていくことが大切です!