$5^n-1$ が4の倍数であることの証明【数学的帰納法】
任意の自然数 $n$ について, $5^n - 1$ が $4$ の倍数であることを数学的帰納法で証明してみよう。
命題
自然数 $n$ について $\displaystyle 5^n-1$ は $4$ の倍数である.
証明のポイント
$5^{n+1}-1= 5(5^n-1) +4$ なので, $5^n-1$ が $4$ の倍数ならば, $5^{n+1}-1$ のときも $4$ の倍数になります。
証明.
任意の自然数 $n$ について $5^n-1$ が $4$ の倍数であることを数学的帰納法によって証明する.
$n=1$ のとき, $5^1-1=1$ であり, これは $4$ の倍数である. ゆえに, $n=1$ のとき主張は正しい.
$n=\ell \geqq 1$ のとき, $5^n-1$ が $4$ の倍数であると仮定する. つまり, ある自然数 $k$ によって, $5^\ell-1 = 4k$ と書けるとする.
$n=\ell+1$ のとき, $5^n - 1$ が $4$ の倍数であることを示す.
$$\begin{aligned}
&5^{\ell + 1}-1 \\
&=5 \cdot 5^\ell -1 \\
&= 5(5^\ell - 1 + 1) -1 \\
&= 5(5^\ell - 1) + 5 -1 \\
&= 5(5^\ell - 1) + 4 \\
&= 5(4k) + 4 \\
& = 4(5k+1)
\end{aligned}$$
$5k+1$ は自然数であるから, $4(5k+1)$ は $4$ の倍数であり, $5^{\ell+1}-1$ も $4$ の倍数である.
よって, $n=\ell$ のとき主張が正しいと仮定すると, $n=\ell+1$ のときも主張が正しいことが示せた.
数学的帰納法により, 任意の自然数 $n$ について, $5^n-1$ は $4$ の倍数であることが言える.
e.g. 命題の観察。
$5^1-1=4$
$5^2-1=24$
$5^3-1=124$
$n=1, 2, 3$ のときは, すべて $4$ の倍数です。