内心の位置ベクトルの公式(ベクトル)
ベクトルで内心の位置ベクトルを示す公式を証明してみよう。
内心の位置ベクトル
三角形 $\mathrm{ABC}$ の内心 $\mathrm{I}$ の位置ベクトル $\vec{i}$ は,
各辺の長さを
$a=|\vec{b}-\vec{c}|,\; b=|\vec{c}-\vec{a}|,\; c=|\vec{a}-\vec{b}|$
とすると, 次の式で与えられる。
$$
\vec{i}
= \frac{a\,\vec{a} + b\,\vec{b} + c\,\vec{c}}{a + b + c}
$$
証明(内心の位置ベクトル)
三角形 $\mathrm{ABC}$ の頂点を
$\mathrm{A}(\vec{a}), \mathrm{B}(\vec{b}), \mathrm{C}(\vec{c})$
とし,
各辺の長さを
$a=|\vec{b}-\vec{c}|$,
$b=|\vec{c}-\vec{a}|$,
$c=|\vec{a}-\vec{b}|$
とする。
内心を $\mathrm{I}(\vec{i})$ とする。
§角の二等分線による線分比
$\angle A$ の二等分線と辺 $\mathrm{BC}$ の交点を $\mathrm{D}$ とすると,
角の二等分線の定理より,
$$
\mathrm{BD} : \mathrm{DC} = c : b
$$
が成り立つ。
同様に,
$\angle B$ の二等分線と辺 $\mathrm{CA}$ の交点を $\mathrm{E}$ とすると,
$$
\mathrm{CE} : \mathrm{EA} = a : c
$$
が成り立つ。
§線分比から位置ベクトルを求める
点 $\mathrm{D}$ は辺 $\mathrm{BC}$ を
$c:b$ に内分する点であるから,
内分点の公式より,
$$
\vec{d}
= \frac{b\,\vec{b} + c\,\vec{c}}{b+c}
$$
と表される。
また,
内心 $\mathrm{I}$ は線分 $\mathrm{AD}$ 上にあり,
三角形 $\mathrm{ABD}$ において,
$\angle B$ の二等分線が $\mathrm{I}$ を通ることから,
$$
\mathrm{AI} : \mathrm{ID} = a : (b+c)
$$
が成り立つ。
§内分公式の合成
よって,
$\mathrm{I}$ は線分 $\mathrm{AD}$ を
$a:(b+c)$ に内分する点であるから,
$$
\vec{i}
= \frac{(b+c)\vec{a} + a\vec{d}}{a+b+c}
$$
となる。
ここで,
$\vec{d} = \dfrac{b\,\vec{b} + c\,\vec{c}}{b+c}$
を代入すると,
$$
\vec{i}
= \frac{a\,\vec{a} + b\,\vec{b} + c\,\vec{c}}{a+b+c}
$$
を得る。
§結論
ゆえに,
三角形 $\mathrm{ABC}$ の内心 $\mathrm{I}$ の位置ベクトルは
$$
\vec{i}
= \frac{a\,\vec{a} + b\,\vec{b} + c\,\vec{c}}{a+b+c}
$$
と表されることが分かった。

