既約分数の分母の素因数が $2$ と $5$ 以外をもてば循環する無限小数であること
既約分数の分母の素因数が $2$ と $5$ 以外を持てば, 循環する無限小数であることを示してみよう。
命題
有理数 $r>0$ の既約分数表示 $\displaystyle \frac{p}{q}$ の分母 $q$ の素因数に $2$ と $5$ 以外の数があれば, $r$ は循環する無限小数である.
証明.
$\displaystyle r=\frac{p}{q}$ について, $p, q>0$ とする. 仮定から自然数 $a, b \geq 0$, $g>0$ を使い, $q = g \cdot 2^a \cdot 5^b$ とできる. ただし, $g$ は $2$ と $5$ を素因数として持たず, $p$ と $g$ は互いに素である.
ここで, $n:=\max\{a,b\} \geq 0$ とすると,
$q=g \cdot 10^n \cdot 2^{a-n} \cdot 5^{b-n}$
とできる. このとき,
$\displaystyle r=\frac{p}{q}$ $\displaystyle =\frac{p}{g\cdot 10^n \cdot 2^{a-n} \cdot 5^{b-n}}$ $\displaystyle =\frac{p \cdot 2^{n-a} \cdot 5^{n-b}}{g\cdot 10^n}$
である. $n-a, n-b \geq 0$ であるから, $2^{n-a}$ と $5^{n-b}$ は自然数である. したがって, 分子 $p \cdot 2^{n-a} \cdot 5^{n-b}$ は自然数である.
ここで,
$\displaystyle A=\frac{p \cdot 2^{n-a} \cdot 5^{n-b}}{g}$
と置く.
$p \cdot 2^{n-a} \cdot 5^{n-b}$ と $g$ は共通因数を持たないので, $p \cdot 2^{n-a} \cdot 5^{n-b}$ は $g$ で割り切ることができない. この余りに $10$ を掛けたものについても $g$ では割り切れない. (共通因数を持たないため.) したがって, 同じ作業を続けると, $A$ は無限小数であると分かる.
余りとして生じる数は $1$ から $g-1$ までの数であり, 同じ余りが現れるときが必ずあるため, そのタイミングで余りが循環することとなる. よって, $A$ は循環する無限小数であることが分かった.
最後に,
$\displaystyle r=\frac{p \cdot 2^{n-a} \cdot 5^{n-b}}{g \cdot 10^n}$ $\displaystyle =\frac{A}{10^n}$
については, $10^n$ で割ったものは, 小数点の位置が $n$ 個ずれるだけであるので, $A$ が循環する無限小数であれば $\displaystyle \frac{A}{10^n}$ も循環する無限小数のままである.
ゆえに, $\displaystyle r=\frac{p}{q}$ の $q$ の素因数に $2$ と $5$ 以外があれば, $r$ は循環する無限小数であることが分かる.
たとえば,
$\frac{7}{3}=2.\dot{3}$,
$\frac{4}{7}$ $=0.\dot{5}7142\dot{8}$,
で結果は循環する無限小数です。