正射影ベクトルの公式

正射影ベクトルの公式を定義に基づいて導出してみよう。
公式(正射影ベクトル)

$\vec{a} \neq 0$ とする。ベクトル $\vec{b}$ のベクトル $\vec{a}$ への正射影ベクトル $\vec{b}_a$ は, $$ \vec{b}_a = \frac{\vec{b} \cdot \vec{a}}{|\vec{a}|^2} \vec{a} $$ で表される。

$\displaystyle \vec{x} = \frac{\vec{b} \cdot \vec{a}}{|\vec{a}|^2} \vec{a}$ と置き, $\vec{x}$ が $\vec{b}$ の $\vec{a}$ への正射影ベクトル $\vec{b}_a$ であることを示す。

§正射影ベクトル $\vec{b}_a$ の定義を確認

ベクトル $\vec{b}$ のベクトル $\vec{a}$ への正射影ベクトルとは, $\vec{b} = \vec{b}_a + \vec{b}^{\perp}$ と分解したときの $\vec{b}_a$ であった。 ここで, $\vec{b}_a$ は $\vec{b}_a // \vec{a}$ を満たし, $\vec{b}^{\perp}$ は $\vec{b}^{\perp} \perp \vec{a}$ を満たすベクトルである。

§① $\vec{x}$ の方向の確認

$\vec{x}$ は $\vec{a}$ と平行であることは自明である。

§② $\vec{b} - \vec{x}$ の方向の確認

ベクトル $\vec{b} - \vec{x}$ が $\vec{a}$ と直交することを示す。 実際, 内積を計算すると $$ (\vec{b} - \vec{x}) \cdot \vec{a} = \vec{b} \cdot \vec{a} - \vec{x} \cdot \vec{a} = \vec{b} \cdot \vec{a} - \frac{\vec{b} \cdot \vec{a}}{|\vec{a}|^2} |\vec{a}|^2 = 0. $$ よって, $(\vec{b} - \vec{x}) \perp \vec{a}$ である。

§結論

①②より, $\vec{x}$ は正射影ベクトルの定義を満たす。ゆえに, $\vec{x}$ は $\vec{b}$ の $\vec{a}$ への正射影ベクトルである。

まず, $\displaystyle \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}$ はベクトル $\vec{a}$ と同じ方向の単位ベクトルです。 次に, $\displaystyle \vec{b} \cdot \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}$ は, ベクトル $\vec{b}$ の $\vec{a}$ 方向の成分(スカラー量)を表します。 このスカラーをもう一度同じ単位ベクトル $\displaystyle \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}$ に掛けることで, $\vec{b}$ を $\vec{a}$ 方向に射影したベクトル $\vec{b}_a$ が得られます。 つまり, 公式 $$ \vec{b}_a = \left( \vec{b} \cdot \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|} \right) \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|} $$ では, 単位ベクトル $\displaystyle \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}$ を2回使うことで, まず成分を取り, その成分の方向を整えて正射影ベクトルを作っています。

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