有理数が四則演算に関して閉じていること

有理数同士の四則演算の結果はすべて有理数であることを証明してみよう。

命題

有理数は四則演算に関して閉じている.

証明.

$a$ と $b$ を有理数とする. このとき, ある整数 $m$ と $n$, $p$ と $q$ が存在し,

$\displaystyle a = \frac{m}{n}$, $\displaystyle b = \frac{p}{q}$

とできる. ただし, $n \neq 0$ かつ $q \neq 0$ とする.

有理数同士の和と差については,

$a\pm b$ $\displaystyle =\frac{m}{n} \pm \frac{p}{q}$ $\displaystyle = \frac{mq \pm np}{nq}$

となる. 分母と分子の数はそれぞれ整数である. なぜならば, 分母と分子はそれぞれ整数同士の加減乗で計算されているからである.

したがって, $a \pm b$ は有理数である.

有理数同士の積については,

$a\cdot b$ $\displaystyle =\frac{m}{n} \cdot \frac{p}{q}$ $\displaystyle = \frac{mp}{nq}$

となる. 分母と分子の数はそれぞれ整数である. なぜならば, 分母と分子はそれぞれ整数同士の積で計算されているからである.

したがって, $a \cdot b$ は有理数である.

有理数同士の商については, $b \neq 0$ のとき,

$a \div b$ $\displaystyle =\frac{m}{n} \div \frac{p}{q}$ $\displaystyle = \frac{mq}{np}$

となる. このときも分母と分子は整数である.

したがって, $a \div b$ は有理数である.

ゆえに, 有理数は四則演算に関して閉じていることが示された.

たとえば,

$\frac{4}{3} + \frac{2}{5} = \frac{26}{15}$,

$\frac{4}{3} - \frac{2}{5} = \frac{14}{15}$,

$\frac{4}{3} \cdot \frac{2}{5} = \frac{8}{15}$,

$\frac{4}{3} \div \frac{2}{5} = \frac{10}{3}$,

で結果はすべて有理数です。

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