数学が意味の分からないと言われる永遠の問題である マイナスかけるマイナスはプラスを解説しました。

マイナスかけるマイナスがプラスなんて意味がわからないよーという方が対象です。

これには他の記事の回答方法と同様で「意味はないよ」と答えます。

数学の先生やネットの情報に、この式(マイナスかけるマイナス)の説明を聞くと、いろんな意味を教えてくれます。しかし、「意味がない」と説明しているものは見つかりません。(あるかもしれませんが。)

この記事は、おおよそ次の手順で、マイナスかけるマイナスを解説しています。

  • 掛け算 $(-1) \times (-1) = 1$ の計算の意味は分からない。しかし、足し算 $(-1) + (-1)$ の意味は分かる。
  • 足し算 $(-1) + (-1)$ と他の意味の分かる計算を使えば、$(-1) \times (-1) = 1$ が成り立たなければいけない、と説明します。

つまり、私たちが「意味の分かる計算」を駆使すれば、

マイナスの積はプラスにならないといけない

ということが決まっているのです。この立場を解説したいと思います。マイナスかけるマイナスは意味が分からない、ということが、この記事の答えです。

正負の数と四則演算について

算数では、自然数の計算分数の計算小数の計算の3点を学びます。自然数とは、$1, 2, 3 \cdots $ のような数のことです。ここで述べている計算とは、具体的に「四則演算(加減乗除)」のことを指します。

算数にはマイナスの数もなければ、文字の計算もありません。これらは中学校の数学になってから学びます。この違いは、どこにあるのでしょうか?

その答えは、単純です。自然数や分数、小数では、掛け算の意味をすぐに見出すことができるけれども、マイナスや文字の計算では掛け算の意味を見出せないからです。今回は、文字の計算の説明は置いておき、マイナスの計算で解説します!

現実の世界の実際の事柄で意味を(すぐに)見出すことができないので、算数ではなく数学の力を利用します。算数と数学の違いについては、今後きちんと説明します。

正負の数と足し算の意味

まず、足し算(引き算)の意味を思い出しましょう。小学校の自然数の計算で確かめてみますが、分数や小数でも同様です。

$1 + 1$ は何ですか?(どういった意味ですか?)

この式は、1個のモノと1個のモノがあるから、2個のモノがあると考えれば良いのですね。少し難しく書きましたが、足し算の意味は明白ですね。

次に、中学校のマイナスや文字の足し算の意味を見てみましょう。(この計算は、すでに習ったということにします。)

$(-1) + (-1)$ は何ですか?(どういった意味ですか?)

これは、散歩で考えると、後ろに1歩下がって、さらに後ろに1歩下がるから、合計「後ろに2歩下がる」と言えるので、「 $-2$ 」と計算する意味が分かる訳ですね。もしくは、温度で考えると、1度下がって、また1度下がったから、合計「2度下がった( $-2$ 度)」という意味が得られるのですね。意味がすぐに分かります

正負の数と掛け算の意味

掛け算(割り算)の意味を思い出しましょう。算数は、自然数の計算で確かめますが、分数や小数でも同様です。

$1 \times 1$ は何ですか?(どういった意味ですか?)

この式は、1個のモノを1倍とするという意味で、$1$ になりますね。$3 \times 2$ の方が分かりやすいかもしれませんが、3個のモノを2倍するから $6$ 個になると考えます。少し難しく書きましたが、掛け算の意味は明白ですね。

次に、中学校のマイナスや文字の掛け算の意味を見てみましょう。(この計算は、すでに習ったということにします。)

$(-1) \times (-1)$ は何ですか?(どういった意味ですか?)

これは、散歩で考えても温度で考えても分かりません。そう、よく分からないのです!←これが正解です!!

マイナス1をマイナス1倍するは、意味不明なのです!!!!!

「あなたの意味不明」は正解です!!

ここから、注意事項を述べます。

マイナスかけるマイナスの意味は分かりません。しかし、マイナスかけるプラスの意味は分かりますね

$(-1) \times 1$ や $(-1) \times 2$ の意味は分かりますね。 散歩で例えると、1歩下がったを1倍する(だから、$-1$ 歩)、1歩下がったのを2倍する(だから、$-2$ 歩)と解釈することができます。

つまり、(マイナス)×(プラス) は計算の意味が分かるのです。

いかし、(マイナス)×(マイナス) の計算の意味は分からないのです!!

私たちは、「 $(-1) \times (-1) = 1$ 」と中学校で習います。これは誰が決めたのでしょうか?誰かが無理やり決めたのでしょうか?

いや、違うんです!誰が決めた訳でもなく、自動的に決まってしまうのです。数学の面白い部分です。

四則演算と、マイナスかけるマイナスはプラスの証明

現在、私たちが計算できること、意味の分かることを整理しましょう。

  • (プラス) + (プラス)
  • (プラス) × (プラス)
  • (マイナス) + (マイナス)
  • (マイナス) × (プラス)

私たちは (マイナス)×(マイナス) の意味も計算方法は分かりません。

数学の面白いことを伝えます。実は、上の4つの計算が成り立っていると、$(-1) \times (-1) = 1$ が成り立たなければいけないのです。

ここに意味は何もありません。ただ、この式が成り立たないといけないのです。

意味の分かる式を駆使した証明

実際に、$(-1) \times (-1) = 1$ の計算を意味の分かる式を駆使して証明してしましょう。

  • $-1 \times 0 = 0$ という式から出発します ➡️ $-1$ を0倍すると、0個という意味
  • $-1 \times ( 1 - 1 ) = 0$ ➡️ $0 = 1-1$ という意味
  • $-1 \times (1 + (-1)) = 0$ ➡️ $1 - 1 = 1 + (-1)$ という意味
  • $-1 \times 1 + (-1) \times (-1) = 0$ ➡️ 分配法則
  • $-1 + (-1) \times (-1) = 0$ ➡️ (マイナス)×(プラス)の意味
  • $(-1) \times (-1) = 1$ ➡️ 移項は意味が分かる

ということです。この最後の式こそが、確かめたかったことですね。意味の分かる規則を駆使すると、この式が出現します。つまり、意味は分からないけれども、この式は成り立たなければいけないのです

ここで、分配法則を使っています。この計算のことは、今後に、もう少し詳しく掘り下げます。(少々お待ちください。)

ここまで分かれば、$-a$ と $-b$ という2つのマイナスの数の積がプラスになることも分かります。($a > 0$, $b>0$ です。)

$(-a) \times (-b)$ = $(-1) \times a \times (-1) \times b$

とします。

$(-1)^2 \times ab = 1 \times ab = ab$ とでき、$a>0, b>0$ であれば、マイナスかけるマイナスがプラスと言えます。

ここで、交換法則を使っています。この計算のことも、今後に、もう少し詳しく掘り下げます。(少々お待ちください。)

分配法則と交換法則は詳しく掘り下げますが、こちらのブログで立場を確認することができます。

正負の数の四則演算とマイナスかけるマイナスはプラスのまとめ

今回は、マイナスとマイナスに意味が分からないことを伝え、その他の意味の分かる計算が成り立つためには、実は、計算結果がプラスにならないといけないことを説明しました。

分配法則や交換法則という計算を途中で利用しましたが、この計算の "立場" は、こちらのブログで解説しております。

意味のないと思っている人に無理やり意味があるって押し付けるのは、教育ではありません。まず、意味がないということを受け入れて、その上で、自分で「意味」を見つけていって欲しいと思っています!

ここまで、お読みいただきありがとうございます!

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