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単元のまとめ

複利法

常識

複利法は、元金と利子(利息)の合計額を、次期の元金として計算する方法です。

利率

年利 $r$ の複利で資産運用を考える.

預けっぱなし投資

$a$ 円を預けた場合,$n$ 年後の預金額の計算式は次の通り:

$$a(1 + r)^n$$

積み立て投資

毎年 $a$ 円の同額ずつ積み立てて預けた場合,$n$ 年後の預金額の計算式は次の通り:

$$\frac{a \{ (1 + r)^{n+1} - 1 \}}{r}$$

この $n$ 年後の式は,

$n$ 年後の利子を貰って, この年の投資金も含めたトータルの金額である.

計算

意味預金
積立額 $a$10万円
利率 $r$0.01(1%)
$1 + r$1.01
$n$ 年後30

豆知識

画像
金利シミュレーション

Compound interest is the 8th wonder of the world.
He who understands it, earns it… he who doesn't…pays it.

by Albert Einstein

複利法の使いどころ

現代の金利事情(2023.11.30)

貯金、投資、保険、ローン、借金…

いま現在の銀行の「金利」は、どれくらいなのか調べてみました。
金利は「年利〇〇%」で表記することが通例のようです!

◇主要銀行の金利比較

すべて「通常貯金(普通預金)」に対する金利です。
※他の貯金の仕方だと"少し"金利が高い場合があります!

※すべて2022年11月30日現在の情報*

Wow!!ぜんぶ金利低すぎるorz
不景気ですね。

画像

もうちょっとだけ興味が湧きました。
ネット系の銀行を調べました。

もう少し銀行の金利比較

※すべて2022年11月30日現在の情報*

まあ、金利低いですね。

通常貯金ではなく、「定期預金」をザッと見ると、「0.002%」の金利でした。

バブルの頃は、定期預金が年利5%を越えていたようです。
(今の時代では信じられないですね!)←生まれてないので。

積立貯金をするときの複利

まず,複利の計算に必要な情報を整理する。

毎年同じ金額を積み立てて預金したとき、○○年後には預金額(元利合計額)はいくらになっているか?

次の表の情報から、未来の元利合計額が算出する。

意味例(預金)例(借金)文字
発生額(&積立額)10万円50万円$a$
利率0.01(1%)0.1(10%)$r$
$1 + r$1.011.1$b$
何年後か?30年後30年後$n$
◎公式の変数の意味と事例の表◎

金利の付け方の整理

◇単利法

単利法は自分が預けたお金(預金額-元金)にしか「利子」が付きません。

国債などの金利は、単利だそうです。

◇複利法

複利法は、自分が預けたお金と、得た利子に対しても、さらに「利子」がつきます。

銀行の預金などの金利は、複利だそうです。

◇単利と複利の違い

単利と複利の言葉だけ聞いていても、単利と複利の違いがあまり判りません。

■単利の計算例

〜例えば(金利10%で100万円預けた場合)〜
100万円預けた場合
→1年後の利子(1,000,000×0.1)→利子「10万円」です。
→2年後の利子→変わらず利子「10万円」です。

■複利の計算例

〜例えば(金利10%で100万円預けた場合)〜
→1年後の利子(1,000,000×0.1)→利子「10万円」です。
→2年後の利子(1,100,000×0.1)→変わらず利子「11万円」です。

※単利も複利も説明を容易にするために、利子を高めの10%にしました。
計算するときは「10%=0.1」にしてくださいね!

ちなみに「0.001%」というのは、計算の際は「0.00001」にします。
かなり低い数値ですね。

いま「10%」という幻の金利で計算しました。
1年で1万円」の差がでました。
しかし、単利と複利は、長期的に見た方が、その違いが非常に顕著に見えます。

画像

複利法の理解

預けっぱなしの複利法の公式

問.はじめだけお金を預けて、寝かせっぱなしにしたとき、○○年後には預金額(元利合計額)はいくらになっているか?

複利式の金利計算(導出)

複利式の金利は「残高 × 利率」で計算できます!

例えば、10万円が残高のとき、利率が 0.01(1%)のとき、

  • 10万円 × 0,01 = 1,000円 【金利】
  • 10万円 + 1,000円 【元利合計額】

ということです。

もしくは、

  • 10万円 × 1.01 = 101,000円 【元利合計額】

でスグに計算OKです!

コツコツ計算【30年後の積立額は?】

積立貯金の計算の仕方

利率は1%(0.01)で、はじめに10万円預けたとします。

来年度は、さきほど計算したように、10万1千円です。

  • 10万円 × 1.01 = 101,000円 【1年後利子付き】

積み立てなので、また10万円を預けます。

  • 10万1千円 + 10万円 = 201,000円 【1年後利子+積立込】

これで1年目の預金額が計算できました。

2年目に話を進めます。
2年目は、今の残高(20万1千円)に利子が付くので、

  • 20万1千円 × 1.01 = 203,010円 【2年後利子付き】

ここで積み立て金の10万円を預けます。

  • 20万1100円 + 10万円 = 301,100円 【2年後利子+積立込】

これで2年目の預金額が計算できました。

で、30年後まで計算したければ、この計算を30回繰り返していくわけですね。。。

ムリっ!

ポイント【なんだ天才じゃん!】

残高から、金利を計算して、積み立てて、

その残高から、また金利を計算して、積み立てて、

って計算を先ほどコツコツしました。

少し発想の転換をします。

一人が毎年コツコツ積み立てる
から
毎年、別々の人が同じ口座に同じ額を振り込む
と考えてみる

→ 銀行の立場から見ると同じことですね!(現実ではしちゃダメ!)

30年間続けてみよう。

【1人目の気持ち】

「10万円あずけた。」

「30年後どうなってるのかな?」

→ 10万円 × $(1.01)^{30}$ 【元利合計額】

【2人目の気持ち(1年後に預ける人)】

「10万円あずけた。」

「29年後どうなってるのかな?」

→ 10万円 × $(1.01)^{29}$ 【元利合計額】

【3人目の気持ち(2年後に預ける人)】

「10万円あずけた。」

「28年後どうなってるのかな?」

→ 10万円 × $(1.01)^{28}$ 【元利合計額】

・・・

【30人目の気持ち(29年後に預ける人)】

「10万円あずけた。」

「来年どうなってるのかな?」

→ 10万円 × $1.01$ 【元利合計額】

【31人目の気持ち(30年後に預ける人)】

「10万円あずけた。」

「俺が預けて終わりだ!」

→ 10万円 のまま 【元利合計額】

全員の【元利合計額】の合計が銀行に預けた30年後のトータルの金額ですね。

  • 10万円 × $(1.01)^{30}$ 【初代】 + 10万円 × $(1.01)^{29}$ 【二代目】+ 10万円 × $(1.01)^{28}$ 【三代目】+ ・・・+10万円 × $1.01$ 【三十代目】+10万円 【三十一代目】

$b = r + 1 = 1.01$ とだけ置き換えてあげます。

  • 10万円 × $b^{30}$ + 10万円 × $b^{29}$ + 10万円 × $b^{28}$ + ・・・+10万円 × $b$ +10万円

ややこしい計算ですが、実は、この計算はスッキリな形にできることが知られています。

高校生向け;
初項 $a=$10万, 公比 $b=1.01$, の等比数列の初項から第31項目までの和
$$\sum_{n=1}^{n=31}ab^n = a\frac{b^{31}-1}{b-1}$$

大人の皆さんは、次のことでイメージだけを持つことができます!
本当に理解する場合は、【高校生向け】のところに書いたことの勉強・必です。

大人向け;
分配法則の $(b + 1)(b - 1) = b^2 - 1$ って式は覚えていますか?【中1】
「b+1」「b-1」=「$b^2$-1」って式は、
$$b + 1 = \frac{b^2 - 1}{b-1}$$
とできます。

同様に、$(b^2 + b + 1)(b - 1) = b^3 - 1$ って式もあります。
「$b^2 + b + 1$」「b-1」=「$b^3$-1」って式は、
$$b^2 + b + 1 = \frac{b^3 - 1}{b-1}$$

同じように、

$$b^{31} + ・・・ + b + 1 = \frac{b^{31} - 1}{b-1}$$

って感じです。これに「10万円」が前につきます。

まとめ!

30年後の元利合計額(30人が別々に預けた金額の合計額)は、

$$100,000 \times \frac{b^{31} - 1}{b-1}$$

数学の公式は、次の形をしている。

$$\frac{a(b^{n+1} - 1)}{b-1}$$

別証明(漸化式版)

複利式で積立の場合、その条件式は、「次年度の残高=今年度の残高×利率 + 積立金」でした。

漸化式の発見!

この式を書き直してみます。

$$a_{n+1} = (1+r)a_n + q$$

どっかで見たことありますね。
$p = 1+r$ とおくと、$a_{n+1} = pa_n +q$ です。
($p$ でも $b$ でも良いです。)

→ そう、教科書に載ってる漸化式!ですね。

具体的な数値を入れてみると、$a_{n+1} = 1.01 a_n + 100,000$ で、初項は $a_1 = 100,000$ です。

もう教科書に載っている問題です!

漸化式の意味

特性方程式を立てて計算します。

$x = 1.01x +100,000$ → $x = -10,000,000$

これで特性型の漸化式の計算していくと、先ほどと同じ式ができます。

Point!!

教科書にある漸化式 $a_{n+1} = pa_n +q$ を、複利式の金利の意味で解釈すると、

「$(n+1)$年目の残高」は 「$n$年目の残高に利率($1+r$)をかけて積立金を合算した金額」と一致する

と言えます。

特性方程式で文字に置くけど

ちなみに、「$x$」って置きますけど、これなんなんでしょうっていつも思いますよね。

$x = (1+r)x +q$ の解のことですので、計算してみると、

$x = x + rx + q$

$rx = q$

$$x = -\frac{q}{r}$$

です。

言葉で書き換えると、

$x$ は、「利率」分の「積立金額」にマイナスを付けたものです。

複利シミュレーション

※Excel・Number・Googleスプレッドシートで作成可能です。今回は,iPhoneでできるNumbersで紹介します!

シミュレーションシステム

お題

A銀行の年利が複利式で「0.001%」でした。

あなたのお年玉を預けました。
30年後に預金を引き出すとすると、いくらになっているでしょうか?

次のようなシミュレーションシステムを作ります。

画像

左側の条件の表(の黄色のトコロ)に必要事項を入力すると、
右側に自動的に未来の預金額が算出できるシステム
』です!

今の画面は,次の条件で複利を計算しています;

  • 1万円を預けて30年間寝かすと、3円だけ利子が付くってこと
  • 毎年3万円ずつ積み立てると30年後には31万47円→利子47円ってこと

例えば、預けるのを10万円の定期預金に替えて、利率を0.002%に変更します。黄色いところだけ変更します。

画像

簡単に30年後の預金額が算出できました♪( ´▽`)パチパチ

システム作成

Numbersで解説しますが,ExcelもしくはGoogleスプレッドシートでも同様に作成可能です。

◇STEP①

Numbersに次のように打ち込んでください。そのまま同じように打ち込みます。

画像

Numbersの機能

なお、Numbersでは図のように同じシートに表を2つ並べることができます。

下の図のようにやってください。

※ExcelやGoogleスプレッドシートではできません。

画像

◇STEP②

[積立額の金額]のところをクリックします。

  1. 「=」を入力します。
  2. 「初回預金額の金額の¥10,000」のところをクリックします。
  3. [Enter]を押します。
画像

で、OKです。

◇STEP③

数式の $b$ に対応する数値を入力します。

[1+利率 の 金額]のところをクリックします。

  1. 「=」を入力します。
  2. 「1 + 」と入力します。
  3. 「利率の0.00001」のところをクリックします。
  4. [Enter]を押します。
画像

◇STEP④

預けて寝かすタイプの数式の $a(a+r)^n$ を利用します。

[初回預金の金額]のところをクリックします。

  1. 「=」を入力します。
  2. 「初回預金額の¥10,000」をクリック
  3. × (1+」と入力
  4. 「利率の0.00001」をクリック
  5. )^」と入力
  6. 「預金年数の30」をクリック
  7. [Enter]を押します。
画像

◇STEP⑤

積立タイプの場合の $\displaystyle \frac{a(b^n-1)}{b-1}$ を利用します。

[積み立ての金額]のところをクリックします。

  1. 「=」を入力します。
  2. 「初回預金額の¥10,000」をクリック
  3. × (」と入力
  4. 「1+利率の1.00001」をクリック
  5. )^(」と入力
  6. 「預金年数の30」をクリック
  7. 「+1) - 1)/」と入力 ※「÷」の記号は「/」スラッシュ
  8. 「利率の0.00001」をクリック
  9. [Enter]を押します。
画像

で、OKです。

あとは、黄色の数値を自分のシミュレーションしたい値に換えて楽しんでみてください!( ◠‿◠ )

【補足】別のシミュレーション~

次の形のシステムの方が作成自体は簡単です。

画像

複利法の数学の公式を知らなくてもシミュレーションできます。

1つ目の表のレイアウト

  1. 図のように必要事項を記入する
STEP
1

2つ目の表のレイアウト

  1. 図のように必要事項を記入する
  2. 左表のB2のセルに「=」を入力して, 「初回貯金額の値」をクリックする。
STEP
2

システムの作成①

  1. 左表のD2のセルに「=」を入力して, 「初年度の預金額の値」をクリックする。
STEP
3

システムの作成②

  1. 左表のB3のセルに「=」を入力して, 「積立額の値」をクリックする。
STEP
4

システムの作成③

  1. 左表のC3のセルに「=」を入力して, 「(初年度の残高の値)*(利率)」を入力する。
STEP
5

システムの作成④

  1. 左表のD3のセルに「=」を入力して, 「(初年度の残高)+(経過1の預金額)+(経過1の金利)」を入力する。
STEP
6

オートフィルの準備①

  1. 左表のB3のセルの参照を絶対参照にする。
STEP
7

オートフィルの準備②

  1. 左表のC3のセルの、利率の参照のところだけを絶対参照にする。
STEP
8

オートフィル

  1. 左表のB3とC3、D3のセルを全て選んで、オートフィルで表の下まで自動的に入力する。
STEP
9

折れ線グラフの作成

  1. 左表のA列とD列を選択する。
  2. 上の「グラフ」のアイコンから、折れ線グラフを選択する。
STEP
10

完成

  1. 2つ目の表の「初回貯金額」と「積立金」、「金利」を変えることで、いろいろな状況でシミュレーションできる。
STEP
11

附録

デザイン集

複利法の計算の概要(数学)

10秒チェックテスト

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