数列の単元に『漸化式』があります。
数列の漸化式には、理解しにくい印象があるかもしれません。

漸化式をなぜ勉強するか見出しにくいからです!

このブログは次のどれかに当てはまる方向けに書きました!!

  • 漸化式の意義がよく分からない
  • 数列の単元って「どんな単元かなー」と思っている
  • ぜんぶ学んで「この単元は結局なんだったんだ」と思っている

漸化式を知る意義を「数列の単元のまとめ」として、
このブログでは解説します。

数列の単元の項目整理

数列の「一単元」であっても
多くの専門用語が新しく出現します。
最初に整理します!

  1. 数列の一般項
  2. 数列の和
  3. 漸化式
  4. (数学的帰納法)

はじめの3つの項目が、この記事で利用する基本的事項です。

フィボナッチ数列を検討するという目的を通して、
数列の漸化式と一般項の果たす役割を、
このブログでは解説をいたします。

【準備】数列の単元の基本のキの解説

数列、すうれつ、スウレツ、そもそも何でしょうか?

数列は「数字の列」のことです。
数字が(一列に)並んでいるものを数列と言います。
それ以上の意味でも、それ以下の意味でもありません。

数列を見るときは、
一列に並ぶ数字の「規則」を見つけること
が大切です。

高校で学習する数列は、さらに、
この規則を「式で表現する」ことが、
とーても大切です。

数列の見方

数列の規則を見つけて、
その規則を数式で表現したい!

この規則を数式で表示したものを数列の一般項と言います。

高校では、一般項が導き出せる数列だけを扱います。

数列の意味と記号の解説

言葉や記号の詳しい説明を進めます。

数列の数字のセット全部をまとめたものを
$\{ a_n \}_n$ という記号で表します。

この記号の意味を理解するための補足です。

  • $\{ a_n \}_n$ は, 集合の記法 $\{ a_n \mid n \textrm{は自然数} \}$ と同じです。
    ただ、集合 $\neq$ 数列 なので注意!(集合の数字たちは順序は気にしませんが、数列では順序は大切で必要です。)
  • $a_n$ は, 関数 $a(n)$ と同じです。
    いつも使う関数 $f(x)$ の記号と同じ意味です。

例えば、$a_n = n$ とは、$n$ が自然数のときだけを考える

$a(n) = n$

という関数と思い自然数を代入します。具体的に書くと、$$\{ a_n \}_n = \{ 1, \ 2, \ 3, \ \cdots \}$$ となります。

例えば、$a_n = n^2 + 1$ とは、$n$ が自然数のときだけ考える $$a(n) = n^2+1$$ という関数と思い自然数を代入します。具体的に書くと、次の通りです。

$$\{ a_n \}_n = \{ 2, \ 5, \ 10, \ 17, \ 26, \ \cdots \}$$

少し難しいかもしれませんが、数列の記号の正確な意味を示しました。

数列の一般項の意味の解説

数列の項を $n$ の数式で $a_n$ を表した式が数列の一般項です。

例えば、先程の数列を考えてみましょう。

$$\{ a_n \}_n = \{ 2, \ 5, \ 10, \ 17, \ 26, \ \cdots \}$$

この数列 $\{ a_n \}_n$ を表す数式が分かっていないとき、$$a_n = n^2+1$$ という数式で表示することが一般項を求めることです。

もし、一般項の数式を導くことができると、6番目でも100番目でも、何番目の数字でも代入の計算さえすれば答えることができます!

だから、一般項の式を求めることができれば、その数列については把握できた、理解できた、と考えます。

数列の見方

数列の一般項を表すことができたら、
その数列の規則が完全に分かったって考えるヨ!

フィボナッチ数列がとつぜん登場!

数列の意味、数列の一般項について、説明してきました。

フィボナッチ数列と呼ばれる数列が「分かったー」と言えることを目標にして、話を進めます。

この記事の本題は、ここからです!

数列を解明することとは何でしたっけ?

一般項を導くことでしたね。

【問題】フィボナッチ数列登場

フィボナッチ数列って聞いたことあるかな?

フィボナッチさんは、今から千年前ころのイタリアの数学者です。
彼が研究したフィボナッチ数列とは、次の数列です。

$$1, \ 1, \ 2, \ 3, \ 5, \ 8, \ 13, \ 21, \ 34, \ 55, \ 89, \ 144, \ \cdots$$

フィボナッチ数列は、自然の中に生きている数列なので重要な数学なんです!

例えば、ひまわりの花弁の枚数、ひまわりの種の個数、まつぼっくりの鱗模様の個数、アンモナイトの殻の形、ある一定の規則で動物が子を生むときの匹数の列、階段を1段か2段飛ばしで上がるときの場合の数(?!)にも現れています。

ところで、、、、

フィボナッチ数列の数字はどういった規則で並んでいるか分かりますか?

【課題】フィボナッチ数列の一般項を導く方針

フィボナッチ数列を
「分かったよー!」
という気持ちになることを
目標で一緒に話を進めます。

【学問】問いを学ぶ

フィボナッチ数列はどんな数列なんだろう?

問い

あなたはフィボナッチ数列の1000番目の数字をパッということができますか?

フィボナッチ数列の一般項を(数式で)表すことが想像できますか?

「どんな数列なんだろう?」と問いを持つことが大切です。
このように問いを持つことが学問の始まりです

【計画】数列の一般項を導く

フィボナッチ数列は「どんな数列なんだろう?」という問いを持ちました。この答えは、どんな回答が適切でしょうか?

いくつもの回答方法がありますが、
1つの答え方は「数列の一般項の式を導くこと」ですネ。

数列の見方

どんな数列なんだろう?

→数列の一般項で表現する!

簡単でしょうか?
難しいでしょうか??

難しくて当たり前です。
このような考え方も学ぶことが数列の単元です。

考え方を学ぶことが、
あなたの数学への見方や感性を成長させること
です!

【結論】フィボナッチ数列の一般項の式を先に確認

フィボナッチ数列の一般項は、すぐに思いつくものではないです。
フィボナッチ数列の一般項の式については先に結論を述べます。

【うまくいかない】一般項の式の難しさ

フィボナッチ数列の一般項がどのような一般項(数式)でしょうか?

んー、んー、難しいですね。

正解です!

「難しい」という感想が、正しい感想だと思います。
なぜならば、フィボナッチ数列の一般項の数式は本当に難しいからです。

フィボナッチ数列の一般項を見ましょう。

$$a_n = \frac{1}{\sqrt{5}} \{ \ \left( \frac{1+\sqrt{5}}{2} \right)^n - \left( \frac{1-\sqrt{5}}{2} \right)^n \ \}$$

難しいですね。複雑ですね。

【確認】一般項のイメージの実感

フィボナッチ数列の複雑な一般項の式を実感するために、
$n$ にいくつか数字を当てはめて、
数列の実際の値と一致するか確かめてみます。

$n$ が大きいと困難ですが、
$n=1, \ 2, \ 3$ は、計算できます。

$$a_n = \frac{1}{\sqrt{5}} \{ \ \left( \frac{1+\sqrt{5}}{2} \right)^n - \left( \frac{1-\sqrt{5}}{2} \right)^n \ \}$$

あなた自身で計算してみましょう。
ヒントだけ掲載しておきます。

  • $n=1$ のとき;分子に $\sqrt{5}$ が上手く残り、約分して、ちょうど「1」になるりますね。
  • $n=2$ のとき;分子に $2 \sqrt{5}$ がちょうど2つ残り、約分して、ちょうど「1」になります。$a^2 - b^2 =(a+b)(a-b)$ の公式を利用しても良いと思います。

$n=3$ のとき;

$$\left( \frac{1+\sqrt{5}}{2} \right)^3 - \left( \frac{1-\sqrt{5}}{2} \right)^3$$

の部分に対して、

$$\alpha^3 - \beta^3 = (\alpha - \beta)(\alpha^2 + \alpha \beta + \beta^2)$$

の変形を用いると良いですね。

なんとなく、これがフィボナッチ数列の一般項であると実感できました。

しかし、実感するだけでは一般項の数式を理解できたことにもならないです。
どうやって、この一般項の数式の形が生み出されたのか気になったままです。

(まさか、この数式を天才が突然思いつた訳でありません。。。たぶん。)

どうやって、この式が生み出されたのかを考えよう。

【調査】フィボナッチ数列の漸化式登場

フィボナッチ数列の一般項が分からない状態で、
どうやって一般項を導けばよいのでしょうか?

ニッチもサッチもいかないときは、
フィボナッチ数列から読み取れる情報から
始めるしかありません。

すぐに分かる規則を探します。

フィボナッチ数列の3項間の規則

フィボナッチ数列を再度確認します。

$$1, \ 1, \ 2, \ 3, \ 5, \ 8, \ 13, \ 21, \ 34, \ 55, \ 89, \ 144, \ 233 , \ \cdots$$

連続して並ぶ3つの数字をセットで観ると、
次の規則があります。

  • 2つの数字を足せば、その次の数字になっている
  • 各数字は、前の2つの数字の和となっている

この規則を数式で表現すると、

$$a_{n+2} = a_{n+1} + a_n$$

とできます。数列の2つの数字( $a_n$ と $a_{n+1}$ )を足すと、これらの後にある 数字の $a_{n+2}$ と一致すると解釈します。

フィボナッチ数列の漸化式

数列の項 $a_n$ についての式が作れました。
ただ、この式は『一般項の数式』ではないです。

この式は数列の3つの数字の関係の規則を表しているが、
フィボナッチ数列の解明に至るものではありません。

$$a_{n+2} = a_{n+1} + a_n$$

このような
隣り合う数字同士の関係を表す式のことを
『数列の漸化式』
といいます。

漸化式は隣り合う数字の関係を示しているだけなので、
例えば、数列の100番目の数字をスグに求めることは困難です。

隣り合う関係を順番に見ていけば、
100番目、1000番目の数字も分かりますが、骨が折れますね。
やはり数列の一般項があった方が、
数列が明瞭に解明できたことになります。

漸化式の意義

以上の話から大切な視点を得ることができます。

数列の解明とは一般項の立式ですが、
普通難しいことが多いです。
隣り合う数字の関係である
漸化式を立てることは比較的容易であります。

漸化式の意義とは一般項を導くための足掛かり
と言えます。

数列の見方

  • 数列の漸化式は、数列の隣合う数字の規則を表しているだけで、数列の規則を完全に解明できた訳ではない。
  • 数列の数字を見たときに、一般項の数式はスグに思い浮かばないけれども、数列の漸化式は比較的容易に思い付くことができた。

次に考えることは、
漸化式の数式を一般項に変形できないか
です。
この思想が『数列の漸化式の考え方の核』です。

フィボナッチ漸化式の数式は、実は、
うまく計算すれば、
数列の一般項の式に変形することができます。

あらためて、
漸化式は一般項を表現するためのきっかけである!
と言っておきます。

漸化式の難しさの解消

数列の単元で存在意義が分かりづらい漸化式は、
一般項を求めるための足掛かり
であると伝えました。。

漸化式が難しい理由には、おそらく、
「漸化式」という3文字熟語が難しい
こともあります。

この言葉を噛み砕くと
ある数字以前の数列の値から、その数列の値が定まることを表す式
です。

数列の漸化式とは数字の列から比較的分かりやすい情報(規則)を抜き出して表現した数式のことです。

【計算】フィボナッチ数列の研究と解明

フィボナッチ数列の漸化式から、
どうやって数列の一般項を導く
ことができるのでしょうか?

解法についてはサクッと見れる動画にしました。

漸化式を知る意義を「数列の単元のまとめ」として、
このブログでは解説します。

変形のキーポイントは、
漸化式 $a_{n+2} = a_{n+1} + a_n$ を、
数列の一般項の形が既知の漸化式まで変形すること
です!

数列の漸化式って「なに?」「なんで?」のまとめ

この記事では、
数列の漸化式の存在の意味
数列の一般項に変形する足掛かり
として紹介しました。

フィボナッチ数列について
も解説しました。

このブログで気づきを与えることができていれば幸いです。

最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。

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