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単元のまとめ

トーラス

話題

トーラスとは, ドーナツのように空洞が1つある曲面である.

定義

$\mathbf{T} = \mathbf{S}^1 \times \mathbf{S}^1$;円を円周でグルッと回転させたもの.

ループ

水平方向の円周 $\mathbf{S}^1$ はロンジチュードループ(緯線)であり, 垂直方向の円周 $\mathbf{S}^1$ はメリディアンループ(経線)である。

$R, r > 0$ のとき,

トーラスの方程式は次の通り:

方程式

$(\sqrt{x^2+y^2}- R)^2 + z^2 = r^2$

媒介変数表示

$\left\{ \begin{array}{rl}
x &=& (R + r \cos \theta) \cos \varphi \\
y &=& (R + r \cos \theta) \sin \varphi \\
z &=& r \sin \theta \end{array} \right. $

イメージ

トーラスが3つ
トーラスの世界アニメ
上手に絵描けた

トーラスのイメージ

穴の空いたもの

ドーナツや浮き輪の表面の形をトーラスと言います。

画像にはトーラスが3つ写っています。

ミスタードーナツ(三重県津駅)で撮影

ゲームのマップ

ドラゴンクエストのマップなどのように、マップの左から出ると右から出てきて,マップの上から出ると下から出てくる世界はトーラスの形です。

トーラスの世界アニメ作成しました。

トーラスのトポロジー

トーラス上のループ(円周)

水平方向に回転する円周 $\mathbf{S}^1$ は,ロンジチュードループ(緯線)と呼ばれる。

垂直方向に回転する円周 $\mathbf{S}^1$ は,メリディアンループ(経線)と呼ばれる。

これらにより,トーラスは「円周を円周でグルッと回した形状」と言える。

定義(トーラス)

$$\mathbf{T} = \mathbf{S}^1 \times \mathbf{S}^1$$

トポロジー的定義

問い

トーラスの位相(トポロジー)ってなに?

命題

トーラスの展開図は,四辺形である。四辺形の対辺どうしをそれぞれ同じ向きに貼り合わせるとトーラスができる。

❶トーラスを展開する

トーラスを展開する過程を描画した。

Blenderで作成

❷四辺形を貼り合わせる

四辺形の対辺の貼り合わせ方を図示した。

また,ロンジチュードループとメリディアンループが展開図で,どのように描写されるのかも描いた。■

トーラスの位相的構造

トーラスの性質

  • 向き付け可能な種数 $1$ の曲面である。
  • オイラー数は $0$ である。
  • 基本群 $\pi_1(\mathbf{T} ) \cong \mathbf{S}^1 \times \mathbf{S}^1$

トーラスの数式

トーラスの方程式

媒介変数表示

$R, r > 0$,$0 \leq \theta, \varphi < 2 \pi$ のとき,次式はトーラスを表す:

$$\left\{\begin{array}{rl}
x &=& (R + r \cos \theta) \cos \varphi \\
y &=& (R + r \cos \theta) \sin \varphi \\
z &=& r \sin \theta \\
\end{array} \right. $$

方程式

$R, r > 0$ のとき,トーラスの方程式は次の通り:

$$(\sqrt{x^2+y^2}- R)^2 + z^2 = r^2$$

観察

この方程式は,ロンジチュードループの半径が $R+r$ から $R-r$ の間を取り,メリディアンループの半径が $r$ のトーラスを表す。

媒介変数表示で説明します。

❶ ロンジチュードの観察

変数 $\theta$ を固定して,できる図形を観察する。次の2式が成立する:

$$\left\{ \begin{array}{cl}
x^2 + y^2 &=& (R + r \cos \theta)^2 \\
z &=& r \sin \theta
\end{array} \right. $$

これは $z$軸上の点を中心とする水平方向に広がる円周(ロンジチュード)を表す。

$\theta$$0$$\pi/2$$\pi$$3\pi/2$$2\pi$
$z$$0$$R$$R-r$$R$$R+r$
半径$R+r$$R$$R-r$$R$$R+r$
$\theta$ を固定したときの様子

変数 $\theta$ を $0 \to 2 \pi$ と動かすと,最も外側の円周( $z=0$ )→頂上部の円周( $z=1$ )→最も内側の円周( $z=0$ )→最下部の円周( $z=-1$ )→最も外側の円周( $z=0$ )と曲面を描くことが分かる。

❷ メリディアンの観察

変数 $\varphi$ を固定して,できる図形を観察する。次の2式が成立する:

$\cos \varphi = 1$,$\sin \varphi = 0$ のとき($\varphi = 0$),次式が成り立つ:

$$(x-R)^2 + z^2 = r^2$$

これは 垂直方向の円周(メリディアンループ)を表す。

$\varphi = 0$ ではないときは,図形を $z$ 軸を中心に $xy$平面を$-\varphi$ だけ回転すれば,同様に $\theta$ が描く図形は垂直方向の円周だと分かる。

つまり,$xy$ 平面の偏角 $\varphi$ の場所のメリディアンループである。

結論として,描かれる図形がトーラスと分かる。

ロンジチュードループの半径は $R+r$ から $R-r$ である。また,メリディアンループの半径は $r$ である。■

トーラスの計量

問い

トーラスの表面積や体積も求めることができるの?

命題

トーラスの表面積は $4 \pi^2 rR$ であり,体積は $2 \pi^2r^2 R $ である。

❶ 表面積

メリディアンループの周の長さが,半径 $R$ の円(ロンジチュード)の分だけあるので,

$$2 \pi r \times 2 \pi R = 4 \pi^2 rR.$$

❷ 体積

メリディアンループの円の面積が,半径$R$ の円(ロンジチュード)の分だけあるので,

$$\pi r^2 \times 2 \pi R = 2 \pi^2 r^2 R.$$

トーラスのPythonコード

トーラスの媒介変数表示によるコード

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from mpl_toolkits.mplot3d import Axes3D

# トーラスの媒介変数表示の関数
def torus_parametric(u, v, R, r):
    x = (R + r * np.cos(v)) * np.cos(u)
    y = (R + r * np.cos(v)) * np.sin(u)
    z = r * np.sin(v)
    return x, y, z

# 媒介変数の範囲
u = np.linspace(0, 2 * np.pi, 100)
v = np.linspace(0, 2 * np.pi, 100)
u, v = np.meshgrid(u, v)

# トーラスのパラメータ
R = 3  # 大円の半径
r = 1  # 小円の半径

# 媒介変数を用いて座標を計算
x, y, z = torus_parametric(u, v, R, r)

# 3Dプロット
fig = plt.figure()
ax = fig.add_subplot(111, projection='3d')
ax.plot_surface(x, y, z, cmap='viridis')

# すべての軸の目盛を合わせる
ax.set_box_aspect([np.ptp(coord) for coord in [x, y, z]])

# グラフを表示
plt.show()

Pythonコードの出力例

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